
【武蔵艦橋内部写真】 この写真は、私が(財)史料調査会に勤務していた頃、上司だった土肥一夫氏(海軍中佐、連合艦隊参謀)から頂いたコピーで、昭和18年6月24日、昭和天皇が武蔵に行幸された際のスナップで、今回再現された第1艦橋でのものです。左で下を向いているのが陛下、中央は連合艦隊古賀峯一長官、右が私の上司だった、土肥一夫参謀。今回はこのような雰囲気を味わえます。
それにしても、集めた図面を並べてみて、どれもこれも微妙に異なるのには悩まされます。中には、艦橋甲板の平面形が大和型と異なる図もあり、当初大和型の艦橋は、戦艦比叡の近代化改装の際に、先行テストとして、大和型を想定した設計になっているので、比叡での図かとも考えたのですが、比叡の平面とも異なり、結局、建造のためではなく、装備品の配置の検討のための図面ではないかと言う推定をしたものもありました。
こういった複数の資料を検討のうえで纏めたものなので、100%の再現ではありませんが、雰囲気は十分です。更に窓の外を見ると、CGで、波を切って進む大和の艦首が見下ろせ、主砲の発射試験を再現したシーンが見られます。全体の監修を、海軍砲術に関しては第1人者である堤明夫氏にお願いしたので、号令などもリアルであると思っています。
歴史を知るという事は、知識だけでは難しい面もあるのです。こういった機会に、戦艦大和の(正しくは大和型戦艦ですが)艦橋に立つことで、歴史の部分を「体感」することも大きな意味を持つのです。資料や本を読んだ時に、その資料を実感として理解する助けになる場合もあるのです。なかなか、何度も出来る企画ではないので、機会があれば、是非一度ご来館されることをお勧めします。
今回の館長ノートは、なんだか宣伝のようになってしまいましたが、ご容赦ください。