新年あけまして、おめでとう御座います。

 大和ミュージアムも、今年は5周年、間もなく6年目に入ります。時間の経つことの速さに驚くばかりです。思えば、年間20万人の来館者を努力目標にスタートした当館ですが、今でも年間90万人前後の方に御来館頂き、今年の夏頃には、累計600万人の来館者を迎えるペースです。

 これも、ひとえに、いつも変わらない支援をしていただく地元の皆様、市及び市議会の皆様、関係業者の皆様。そして、なによりも多くの時間を割いて直接館に協力していただいているボランティアスタッフの皆様のお陰と思っています。私自身、館長としては、まだまだ能力的に不十分ですが、この大和ミュージアムの仕事に関わらせていただいていることを、ありがたく思っています。

 個人的な話ですが、私は平成16年以来、千葉の自宅と呉を電車通勤しているわけですが、ミュージアムの広報事業は、やはり東京での活動が多く、一頃は毎週東京と呉を往復し、年間50〜100回も新幹線のお世話になっていました。最初は、広島と東京の4時間の時間を何か使おうと思っていたのですが、結局睡眠場所になりました。どうも人間は、イスに座ったままでも2〜3時間は我慢できるようですが、3時間目から先は、かなり我慢の時間なのです。そんな時、富士山を見ると、ほっとしたものです。そんな理由から、新幹線は、往復共に富士山側の席を取るようにしています。

 富士山は日本一の名山ですが、6年間に400回以上富士山の前を通って、気がついた事があります。それは、富士山は、案外に見えない、ということなのです。気流のせいなのか、富士山は雲に隠れている事が多く、新幹線から、すっきりと裾野まで見えるのは、一年に数回しか無いと思います。しかも、新幹線の窓から、綺麗に裾野まで見える場所は、1分くらいのような気がします。そこで、天気の良い日には、カメラを構えてタイミングを待ち、シャッターを切るわけです。

日本晴の富士山

写真は、その中でも、一番良く写ったもので、お正月らしい一枚だと思います。

 富士山を見ると思い出すのは、富士山が世界遺産に登録されなかった理由が、多くの登山者のために、自然が美しく保たれていない。と言うことだったことです。遠くから見ていれば、いつも美しい姿ですが、実際には、かなり汚れていたようで、今は、美しい自然を取り返すために努力がなされているようです。これは、日本ばかりではなく、オーストラリアの平原に聳え立つエアーズロックも、登山者が多く、自然が破壊されることから、また、先住民の聖地でもあることから、間もなく登山は禁止されると言うことです。さすがに富士山が登山禁止にはならないでしょうが、自然を守ることの難しさを改めて知らされる気がしました。

 ひたすら、発展を進めてきたこの100数十年も、もう一段落し、これからは、進歩、発展ばかりを目指す時代ではないと思います。少々暮らしは不便でも、豊かな自然に恵まれた生活を求める時代になったのではないかと思います。
このような時代の変化の中で、人間にとって、技術というものがどうあるべきか、技術の歴史を見直すことによって得ることの出来るものも多いのではないでしょうか。
新しい年を迎えて、大和ミュージアムも更に新しい側面から歴史を見直すための場になるように、努力をしてゆきたいと思っていますので、皆様にも、旧年と変わらないご支援をお願いします。