当館に展示中の「ヤーロー式ボイラー」が建築設備技術遺産に認定されました。
「建築設備技術遺産」は、(社)建築設備技術者協会が、建築設備分野に係わる「技術」を認定する制度です。建築設備の「技術」・「役割」・「文化」を紹介することが目的です。
当館に常設展示中の巡洋戦艦「金剛」搭載のヤーロー式ボイラーは戦後、建物の暖房用ボイラーとして活用されたことが評価されました。
イギリスのヴィッカース社において大正2(1913)年8月16日、巡洋戦艦として竣工した「金剛」には36基のヤーロー式ボイラーが搭載されていました。昭和3年(1928)からの横須賀海軍工廠における近代化改装の際に撤去され、戦前は東京の海軍技術研究所、戦後は科学技術庁の金属材料研究所の建物の暖房用ボイラーとして平成5年(1993)まで使用されていたものです。
イギリスから日本へ、海から陸へ、戦艦から建物へと経緯についても大変興味深く、また、海軍におけるボイラー開発、建物構造物の中の空調設備としても大きな影響を与えています。
このボイラーは、平成19年度に経済産業省の近代化産業遺産、平成20年度に国立科学博物館の重要科学技術史資料に登録されています。