現在(2020年4月16日)、大和ミュージアムは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から「臨時休館」しています。
それにともない、開催を予定していた戸村裕行水中写真展「群青の追憶」は、中止することとなりました。
すでに、会期は超えておりましたが、4月中に開館できた場合に皆さまに観覧機会を提供できるようにと用意しておりましたが、開催を心待ちにしてくださっていた皆様、並びに関係者の皆様には本当に申し訳ございませんでした。
開催に向けて設営を完了していた会場も、ご覧いただけないまま撤収することとなりました。
せめて会場の様子だけでもお届けできればと考え、本ページにて会場の写真を公開いたします。
水中写真家 戸村裕行
世界の海中を巡り、大型海洋生物からマクロの生物まで、様々な海中景観を撮影し続けている水中写真家。生物の躍動感や海の色彩を意識した作品は、ウェブやダイビング誌、カメラ誌などを中心に発表されている。また、一つのライフワークとして過去の大戦を起因とする海底に眠る事となった日本の艦船や航空機などの撮影を世界各地で続け、現在までにその数は100程になる。
その取材内容はミリタリー総合誌、月刊「丸」にて毎月連載を続けている。
オフィシャルサイト>>www.hiroyuki-tomura.com
メッセージ(戸村裕行)
水中写真家の戸村裕行です。
この度、大和ミュージアムで開催予定でした私の水中写真展「群青の追憶」〜海底に眠る戦争遺産を追う〜が、新型コロナウイルスの影響により、残念ながら「中止」となりました。
この写真展の題材となっている、太平洋戦争に起因する世界各地に眠る多くの「水中に眠る戦争遺産」は海軍に関連する内容が多く、かつて鎮守府として栄えた呉の街で皆さんにご覧いただけることを大変ありがたく思っていただけに、大変残念に思っておりますが、世界中でこれだけ感染拡大した現在の状況下において、ご来場いただく皆さまのリスクを伴う開催は私自身も不本意であり、大和ミュージアム様の決定に感謝しております。
今年は戦後75周年という節目の年でもあります。最近では、マイクロソフトの創業者の一人である故ポール・アレン氏の財団を筆頭に、様々な調査チームの努力により、多くの大深度に眠る過去の大戦に由来する艦船が発見され、ニュースなどにも取り上げられ、話題となりました。そのような中で、私が撮影している艦船や航空機などに関しては、人が潜ることができる水深となる為に自然の影響を受けやすく、腐食や経年劣化が進み、いまだに残っているのが奇跡と呼べるものばかりではありますが、それらにおいても徐々に崩れてきてしまっています。一部では世界遺産活動・未来遺産運動などを推進するユネスコによる保護という流れもありますが、登録される頃には全て崩れてしまっていることもあり得るのではないでしょうか。
今もなお、海中に残っている当時の艦船や航空機などが全て崩れてしまった時に、人々の記憶から忘れられてしまうのではないだろうか…。戦争のない平和な未来に向けて、それらの今も残る過去の戦争の事実、遺産を記録し、伝えて行かなければならない。それが、多くの犠牲になった方々の慰霊・顕彰にも繋がり、大切なことではないかと考え、今後も撮影を続けていきたいと思っております。
残念ながら今回は中止という決断となりましたが、このような状況の中で最後まで開催に向けてご尽力下さいました大和ミュージアムの皆様、ご協力・ご後援いただいておりました関係者の皆さまに深く感謝の意を表すると共に、皆さまに「改めて」この地でお会いできることを願っております。
大変な日が続きますが、心から安心して大切な人と触れ合える、当たり前と思っていた日常を一日でも早く取り戻す為に、共に乗り越えていきましょう。
戸村裕行