最近知人に「このところ館長ノートサボってませんか?」と言われ、そういえば、忙しさにかまけて書いていないなあ・・と反省しました。 

 そこで、最近の話題をひとつ。

大和型戦艦の砲塔前盾

アメリカ海軍の16インチ砲で撃ちぬかれた、大和型戦艦の砲塔前盾。70年位近く屋外に展示されていますが、無塗装にもかかわらず、ほとんど錆びもなく、雄大と言ってよい姿です。

 
 この9月から10月にかけて、久しぶりにアメリカに出張してきました。これは来年の大和ミュージアム10周年の準備を含めたものでしたが、それ以外にも興味深い場所を見てきました。

アリゾナ記念館の館内に表示されている、戦没者名簿。大和ミュージアムには、大和の戦没者名簿が掲出されていますが、共に哀悼の思いを捧げました。

アリゾナ記念館の館内に表示されている、戦没者名簿。大和ミュージアムには、大和の戦没者名簿が掲出されていますが、共に哀悼の思いを捧げました。

 まず、ハワイに行き、アリゾナ記念館と戦艦ミズーリを訪問。アリゾナはアメリカの国立公園管理部署の管理になっていて、現在も艦内の調査などが行われていますが、最近、艦内などの様子を3Dプリンターで再現する調査をしていました。いくつかのサンプルを見せてもらいましたが、船底に横たわるコーラの瓶などが色彩まで見事に再現されていて、驚きました。これは、遺跡や資料の現状を全く触ることなく複製を造れる技術で、大和ミュージアムでも、何かで実験してみたいと思いました。

 
戦艦ミズーリの前甲板から見た姿。巨大な40センチ砲ですが、大和は更に巨大だったのか、と思うと、想像も出来ません。

戦艦ミズーリの前甲板から見た姿。巨大な40センチ砲ですが、大和は更に巨大だったのか、と思うと、想像も出来ません。

 ミズーリでは、数年前からボランティアさんたちが行っていた木甲板の張替がだいぶ進み、後甲板が綺麗になっていました。大和とミズーリは、日米の代表的戦艦として、今後とも協力して、平和に対するメッセージを発してゆきたいですね、と話し合うことが出来ました。ミズーリは民間の財団が、海軍から管理を委託されているのですが、私が「これ、動きますか?」と聞いたところ、「無論、海軍が必要と言えば、すぐに出動できますよ」と、さすが!!の答えでした。

ちょうど何かのイベントがあり、本土からブルーエンジェルスが飛来し、市街地の上空で訓練飛行をしていました。
 
スミソニアン航空宇宙博物館。館内には、航空史上有名な機体が展示されていますが、ほとんどが実物!館の大きさに圧倒されます。

スミソニアン航空宇宙博物館。館内には、航空史上有名な機体が展示されていますが、ほとんどが実物!館の大きさに圧倒されます。

 次いで、ワシントンDCに行き、国立公文書館と海軍歴史センター、スミソニアン航空宇宙博物館などに行きましたが、国立公文書館は1980年に行って以来、訪問するのは7~8回目ですが、何度行っても興奮してしまいます。今回も、かなりの量の米軍撮影のムービーを調べ、スチル写真も数百枚を見ましたが、いつもながら、歴史資料の保存にかける熱意を感じました。

 
 海軍歴史センターでは、写真管理部署で写真のカードを調べ、その後、毎回のことながら、中庭の展示物の中で、ひときわ目に付く、大和型戦艦の砲塔前盾を見に行きました。以前は、ゲートでパスポートを見せるだけで、構内を自由に歩けたのですが、最近は、面会相手の同行が無いと、自由に歩けなくなっていました。今回は、私としては初めてメジャーでこの甲鈑の厚さを直接測り、65センチを確認しました。
 
 最期にスミソニアン航空宇宙博物館で、学芸責任者にいろいろ話を聞き、終戦後日本から持ち帰った航空機関係の収蔵資料のデータベースを見せてもらいました。日本海軍の航空エンジンなどが、見事にレストアされているのを見ると、うれしい気持ちになります。ここで、飛行機模型の保管場所に案内され、膨大な数の素晴らしい模型を見たのですが、どうも日本の飛行機模型が少ないように思えたので、そういうと、「大丈夫、他にもまだありますよ」と。恐れ入りました・・。
 
インディアン博物館で食べた、バッファロー・バーガー。なかなかの味でした。

インディアン博物館で食べた、バッファロー・バーガー。なかなかの味でした。

 ちょうど昼時だったので、お隣に新しくできた、アメリカインディアン博物館を見ました。南米インディアンも対象とした、幅広い展示でしたが、面白かったのはビッフェで、インディアンの各部族の民族食をテーマにしたランチがあり、私は、バッファロー・バーガーを注文しました。恐る恐る食べたのですが、肉は柔らかくておいしいものでした。

 
 今回の成果は、来年の10周年企画展に大きく生かされる予定ですので、楽しみにしていただきたいと思います。